木造住宅の耐震補強にかかる費用相場はいくら?助成金の活用も
2022/08/16
地震に備えて耐震補強を考えた時に気になるのが費用です。木造住宅の補強の費用相場はどのくらいなのでしょうか。地震で破損した場合の修繕費と比べるとどれくらい違うのかも知りたいところです。また、耐震補強は条件が合えば補助金が出る場合も。今回は耐震で気になる費用についてまとめてご紹介します。
もし地震に遭ってしまったら…予想される被害と修繕費用の目安
まずは地震で破損した場合の修繕費がどれくらいか確認していきましょう。倒壊を免れても、被害を受けた家の修理にはかなりの出費を覚悟しなくてはなりません。
家の外側
外側から見てわかる被害は、雨漏りや更なる被害を防ぐために早めに修繕しなくてはなりません。
・外壁が割れる
外壁の50%を再築する費用:約140万円
見た目として新旧の壁の継ぎ目は残ってしまいます。
・屋根が壊れる
屋根材(瓦など)、雨どいなどを撤去する費用:約90万円
屋根の葺き替え、雨どいなどの交換費用:約200万円
復旧が完了するまでの応急処置としてブルーシートの購入費なども発生します。
・塀が崩れる
ブロック塀(約10m)を撤去し新設する費用:約40万円
塗装などが必要な場合はさらにその分がかかります。
家の内側
家の内側が壊れていると安心して住み続けることはできません。怪我をしないためにも早めに修繕したいものです。
・窓ガラスが割れる
家の窓ガラスをすべて交換する費用:約40万円
サッシ枠の交換が必要な場合はさらに費用は高くなります。
・家具が倒れる
壊れた家具の被害額:家具の値段次第
地震保険に入っていても、家財保険に契約していないと家具は補償されません。
・柱が折れる
柱を交換する費用:約220万円
梁などをジャッキで持ち上げて交換する作業は、建築のプロでも難しい作業です。
・床が抜ける
床を新しく張りなおす費用:約65万円
修繕する面積によって費用は異なりますが、床下部分の基礎の補修が必要な場合はさらに費用がかさむこともあります。
被害に遭う前に対策するのが必至!耐震補強を考慮すべき箇所はどこ?
被害に遭ってからの修繕では費用はかさんでしまいます。前もって耐震補強をし、被害を出さないことが大切です。では、耐震補強で特に重要視すべき箇所はどこでしょうか。どう補強すればよいか、各部位のポイントを確認していきましょう。
家の外側
家の外側が破損すると倒壊の危険や、通行人へ被害が及ぶことも。重量を軽くしたり揺れに強くしたりといった補強が必要です。
・屋根
瓦など重い屋根材が倒壊の原因になることも。金属板やスレートなど、軽い屋根材へ葺き替えることも耐震につながります。
・外壁
木造住宅の多くは、「木造軸組工法」という垂直の柱と水平の梁と土台で家を支える作りです。左右の揺れに弱いため、横揺れに強い外壁にすることが有効です。中に鉄板を入れたり筋交いを入れたりする方法もあります。
・雨どいの周り
雨どいは揺れで変形や外れてしまうことが多い部分です。雨水をうまく排水できないと住宅の傷みも早くなってしまいます。丈夫な雨どいや接合部を補強することも大事です。
・塀
地震で塀が倒壊すると通行人に被害が出てしまう可能性もあります。ブロック塀などは重いため、上部をフェンスなどで軽くする、生け垣にするなど家に合わせた耐震を検討しましょう。
家の内側
地震が起きても安心して住んでいられるように家の内側も耐震ポイントを確認しましょう。
・床
床が抜けてしまうことのないよう、基礎部分や床下は耐震補強するべきポイントです。
・家財道具の周辺
タンスや食器棚などが倒れないよう、つっぱり棒や金具で倒れないよう補強することは大切です。
・内壁
強い揺れでもひびが入ったりしないよう、耐震壁や制震壁などに変更することを検討するのも良いでしょう。
・窓周り
窓ガラスが割れると怪我につながる可能性が高くなります。またサッシが外れたりしないよう、耐震性の高いものに付け替えることも有効です。
旧耐震と新耐震で費用相場は変わる?予算に応じて補強箇所を選ぶには?
1981年に建築基準法が改正され、耐震基準が見直されました。そのため、1981年以前に旧耐震基準で建てられた住宅は耐震性も低い可能性が高いです。この時期に建てられた住宅を耐震補強したい場合は、費用はどのくらいかかるか気になるところです。また、予算があまりない場合はどこを優先するべきでしょうか。
補強にかかる費用は?
耐震補強の工事でかかる費用の相場は、建物全体で、一般的には150万円前後です。家の大きさや作業内容にもよりますが、平均120~150万円ほど、高額でも200万円ほどまでが多いです。
築年数で金額が変わる?
耐震補強の費用を大きく左右するのは建物の築年数です。一般的に古い住宅ほど費用が高くなります。一般的に築年数が10年経つにつれ、費用が約30万円ずつ増加すると言われています。築19年以下の住宅では約100万円が費用相場ですが、築20~29年だと約130万円が目安です。
旧耐震基準で建てられている築40年以上の建物になると180~200万円以上かかります。現在の耐震基準より壁の量が少ないなど、より多くの工事を必要とするため、高額になりがちです。
予算に応じて補強内容を決める方法も
耐震補強は建物全体ではそれなりの費用がかかってしまいます。そこまで予算がないが耐震補強はしたい場合は、補強する箇所を選んで行うことも可能です。
例えば、壁に筋交いを付ける工事は約25万円。壁に耐震パネルを設置するには約60万円で可能です。業者に予算を提示して、予算内で自宅に合わせて補強する箇所を提案してもらうこともできるので、まずは相談してみましょう。
耐震補強は条件があえば助成金も利用できる
耐震補強はそれなりの費用がかかる工事のため躊躇してしまいますが、補助金が出ることがあります。自治体によっては100万円近くの補助金が出ることも。各自治体によって条件や金額が違うため、利用したい場合はお住いの自治体に問い合わせてみましょう。
例えば、神奈川県横浜市では、「横浜市木造住宅耐震改修促進事業」として、基礎や柱、梁などの補強、軽量化のための屋根の葺き替えなどの改修工事に補助金を出しています。世帯の課税区分に応じて、最大100~140万円の補助が出ます。
<まとめ>
木造住宅の耐震補強の費用は、建物全体だと100万円を超え得