耐震補強の方法は?住んだまま補強工事はすることは可能か解説
2022/08/16
木造住宅は耐震補強に3つの方法があります。方法を知っておくと補強工事を検討する際に、どういった補強が自宅に合っているか選べるようになります。今回は補強方法の違いや、どんな工事を行うのか、中に住んだまま家の外から補強することができるのかを解説していきます。
耐震補強の方法
建物の地震対策には「耐震」「制震」「免震」の3つの方法があります。
耐震補強
耐震補強とは、建物を強固にして揺れに耐えられるよう補強すること。耐震壁や金具、筋交いなどで建物の強度を向上させ、倒壊や破損を防ぐ方法です。工事が比較的安価で簡単という点から多くの住宅に採用されています。
制震補強
制震補強とは、地震の揺れを吸収できるように補強することです。おもりやバネ、ダンパーなどで揺れを軽減して建物のダメージを減らす方法です。高層ビルに特に有効で、住宅にも導入しやすいですが、間取りによる制限が生まれる可能性があります。
免震補強
免震補強とは、揺れを建物に伝えないように補強することです。基礎と建物の間に免震装置を設置し、建物に地面に接地しないことで揺れを伝えない方法です。揺れを大幅に軽減できるため大きな地震にも有効ですが、装置の設置や維持にコストがかかるデメリットもあります。
家の外側から行う補強方法
耐震補強工事は大がかりなイメージがありますが、実際は外から補強することで普段の生活をしながら工事を進めることも可能です。住んでいる状態で補強工事ができれば、仮住まいの負担なども減り、精神面もコスト面もメリットが大きいですよね。外側からの工事はどのような補強ができるのか確認していきましょう。
屋根の補強
木造住宅で多い屋根瓦は重量があり地震の際揺れやすく、落下のとき危険性が高いものです。そのため屋根材をスレート瓦など軽いものに葺き替えたり、滑り落ちるのを防ぐ金具を付けたりする工事が可能です。
基盤の補強
壁や柱が抜けないように、筋交いを入れたり金具で固定したりして補強します。外壁を外して土台や基礎の状態を確認し、状態に合わせて補強工事を行うことが一般的ですが、この場合は住んだまま行うことは難しいでしょう。外壁を撤去せずに外から行う工事であれば中の暮らしを変えずに進行できます。例えば耐震補強フレームを外壁の外側に付け補強する方法があります。
外壁の補強
外壁を強固にして揺れに耐えられるものにします。外壁を一度取り外し、耐震プレートを中に入れたり、耐震壁に付け替えたりする方法が多いです。外壁を残したまま行う工事では、既存の壁の上から耐震パネルを重ねて貼る方法などがあります。
家の内側から行う補強方法
道が狭く、近隣の家との距離が近い住宅地など、重機が入らない場合では外壁撤去をしての補強工事はできません。その場合、家の内側から行う方法を検討するとよいでしょう。自分で取り付けできる金具の補強など、壁を撤去せず家に住んだまま工事することも可能です。
家財道具の補強
地震の際、タンスや食器棚が倒れて下敷きになってしまう、という事故を防ぐために家具にも地震対策が必要です。床面との間に滑り止めをはさんだり、突っ張り棒や耐震金具を付けたりします。簡易的なものであればホームセンターなどに家具の転倒防止グッズが売っていますので、自分で取り付けることもできます。
内壁を撤去しての補強
内壁を撤去して耐震補強工事を行う場合も外壁で行う工事と同じく、筋交いや構造用合板などで補強する方法です。内壁を撤去して行う工事にはいくつかメリットがあります。一つ目は内壁内部の断熱材や柱の状態を確認できるため、状態に合わせて正確な補強が可能になることです。
また、押し入れなどから補強すれば内壁の撤去の手間が少なくなることもあります。押し入れの中であれば、クロスの張替えのような内装の仕上げを省略できるので、工事にかかる費用も安くできる可能性があるからです。
窓の耐震補強
地震で窓ガラスが割れて被害を広がるのを防ぐために行います。方法は耐震補強フレームや強化ガラスに変える方法があります。窓の外側から外枠に覆うように設置するフレームもあり、こちらは一般の耐震工事よりも短期間で済みます。
また、窓のサイズを小さくリフォームするという方法もあります。窓が大きいとその分壁が少なくなり、耐震強度が下がります。サッシやパネルを追加し窓ガラスの面積を狭くすることで耐震補強する方法もあります。
<まとめ>
安心して暮らしていくためにも耐震補強は重要と分かっていても、工事中は暮らし方を変えなくてはいけない場合ハードルが上がってしまいますよね。ただ、外から行う耐震補強の方法や工事の内容次第で、住んでいる状態で行うことができます。自宅に合った耐震補強の方法を見極めて、地震にしっかりと備えましょう。