セルフチェックで現在の耐震性を確認!木造住宅の耐震補強を考えよう
2022/08/16
「地震大国」日本。大地震は今後30年以内に高い確率で起きると言われています。いつ地震が来てもいいように、今からできる準備を考えておきましょう。初めにやっておきたいのは、現在住んでいる家のコンディションを知ること。そこで今回は木造住宅の耐震性をセルフチェックするポイントを紹介します。
現在の家が安心かどうかを知るには?
気になる住宅の耐震事情ですが、そもそも耐震性とは何が基準になっているのでしょう。まずは木造住宅の耐震補強が必要な目安について確認していきましょう。
住宅の「耐震性」とは
耐震性とは、地震が起きた際に建物が揺れに耐えられる度合いのことです。
住宅の耐震性は建築基準法により「耐震基準」が制定されています。1950年から施行され、1981年6月からは「新耐震基準」として「震度5強程度の中規模地震では軽微な損傷、震度6強から7に達する程度の大規模地震でも倒壊は免れる」という耐震基準が義務付けられました。さらに2000年6月からは「2000年基準」と呼ばれるさらに厳しい基準が設けられています。これは1995年1月に発生した阪神淡路大震災の教訓から、さらに規定が厳格化されたものです。
また、耐震性を考える際に重要な指標として「耐震等級」があります。耐震等級とは、地震に対する建物の強さを等級としてあらわしたものです。倒壊防止や損傷防止等の度合を数値化して判断されます。耐震等級は3段階あり、等級が上がるごとに耐震性が高いということになります。
木造住宅の耐震補強の必要性
木造住宅の場合、鉄筋よりも弱いイメージがあるため耐震性が劣ると思われるかもしれませんが、木はしなやかなため揺れを逃がしやすい特徴を持っています。また、地震の揺れは住宅の重量と比例します。木は鉄より軽いため木造住宅の方が、揺れが小さくて済む場合もあります。とはいえ木造建築は地震に強いと思うのは間違い。耐震補強が必要な場合もあります。
木造住宅で耐震補強が必要かどうかの判断は、1981年5月31日以前に着工されたかがひとつの目安になります。この日以前に着工されている住宅は新耐震基準を満たしていない可能性があるため、耐震性が弱い場合があります。実際、2016年に発生した熊本地震では1981年以前に建てられた木造住宅に大きな被害が出ました。
耐震補強が必要?まずは家の耐震性をチェック
築年数以外にも、実際に耐震補強が必要かどうかチェックする方法があります。現在の家の状態を確認し、10項目の設問に答えることで、耐震性の自己診断が可能です。
1.建てたのは1981年6月以降である。
2.いままでに大きな災害に見舞われたことがない。
3.増築していない。または建築確認など必要な手続きをしたうえで増築した。
4.家に傷んだ箇所はない。または傷んだ箇所は都度補修している。
5.建物の平面は長方形に近い形。
6.一辺が4m以上の吹き抜けはない。
7.2階の外壁の真下に1階の外壁または内壁がある。
8.1階の外壁の東西南北、どの面にも壁がある。
9.比較的軽い屋根材である、または瓦など比較的重い屋根材であるが、1階に壁が多い。
10.鉄筋コンクリートの布基礎・ベタ基礎・杭基礎など強固である。
10項目すべて「はい」であればひとまず安心です。1~2項目「いいえ」があった場合は専門家にみてもらいましょう。3項目以上「いいえ」がある場合は早めに専門家のチェックが必要です。
参考:【誰でもできるわが家の耐震診断】
https://www.kenchiku-bosai.or.jp/files/2013/11/wagayare.pdf
さらに状態を詳しく知るためにチェックすべきはココ!
上記の自己診断で大丈夫であっても、油断は禁物。気づきにくいところが劣化している可能性もあります。さらに詳しく調べたい場合は以下のチェックポイントを目視で確認してみましょう。
家の外側
<土台・床下など基礎部分のチェック>
・基礎にひび割れはないか。
・羽アリや白アリなどがいないか。
・腐った木くずのようなものが基礎の周りに落ちていないか。
・床裏に断熱材が入っているか。外れたりしていないか。
・家が建つ地域の地盤は良いか。液状化などないか。
<外壁のチェック>
・ひび割れや塗装が浮いているところはないか。
・家全体が傾いていないか。
家の内側
<内壁や柱のチェック>
・壁の表面に変色しているところはないか。
・柱や壁が垂直か。
<天井のチェック>
・天井や壁に雨漏りの跡や変色はないか。
<建具のチェック>
・サッシや引き戸の開閉がスムーズか。
・ドアや戸を閉めたとき、隙間ができていないか。
・床は水平か。家具のぐらつきなどがないか。
ポイントが1つでも該当する場合は耐震性の低下が疑われます。専門家による耐震チェックを検討してみてください。
<まとめ>
地震はいつ起きるか分かりません。まずはセルフチェックで確かめて、おかしいと思ったら専門家にみてもらったり耐震補強工事をしたりするなど、早めの備えをしましょう。